深い竹林の中に建つ屋敷。夜が近づいているが、その屋敷には灯りもなく、ただ夕焼けの色づいた光がぼんやりと差し込んでいる。
私が立つ30畳ほどもあろうかという広間からは、開け放たれた玄関から人々の往来が見てとれる。洋装・和装入り交じり、まるで明治時代の光景だ。皆小走りに背の低い生け垣に挟まれた小道を行き交っているが、屋敷の玄関に差し掛かると、そろってちらりとこちらへ目を遣るのだった。
私はなんとか彼らの視線を遮ろうと、様々な種類の織物でできた衝立を広間に並べ始める。
2、30は並べただろうか、その色鮮やかな光景に満足したところで、私は玄関に背を向け裏庭に面した縁側廊下へ向かう。
途中、部屋の隅に目を遣ると、母が畳に座り何かを縫っている。近づいて声をかけると、ちいさな人形を見せてくれた。
縁側廊下を屋敷の奥へ進むと、左手に二階へ上がる階段が現れた。そうだ、二階で探し物があったのだった。そう思った私は階段を塞いでいた低い木製の衝立を脇へ寄せ、ひとつ足を掛けるのだが、見上げた先は暗闇で、それ以上進むことができなくなる。
陽は完全に暮れてしまい、やがて何も見えなくなった。
(2011.12.11 夜)
2011年12月13日火曜日
2011年12月12日月曜日
とある集落/小学校
夢1
とある集落を歩いている。標高がとても高いらしく、周囲には草木も生えず、ごつごつとした岩に囲まれている。
つづら折りの坂道に沿って木造の建物がまばらに並んでいる。私は鰻屋兼温泉宿であるひときわ大きな建物へ入るが、人の姿はない。
しばらく周囲を歩き周った後、坂道を登り切るとロープウェイ乗り場が現れた。券売所の付近に人集りを見つけ近寄ると、小学校の頃のクラスメイトたちだ。皆笑顔で私を迎え入れてくれる。
不安にかられていた私は心からホッとしている。
夢2
小学校の前にいる。隣には幼馴染であるAが立っている。私もAも子供の頃の姿だ。
私とAは突然ケンカを始める。Aがランドセルに唾を吐きかけたと私は言い、そんなことはしていないとAは言う。2、3言い争った後、どちらともなくまあいいか、とケンカは収まった。
小学校に立ち入った私たちは、まるで病院の待合室のような内観に驚いている。校内には私たち以外誰もいない。腹減ったね、とこれまた小学校にあるまじき食堂へ向かうと、テーブルに大きなたこ焼きが4つ並んだ皿が置かれている。
(2011.12.10 夜)
とある集落を歩いている。標高がとても高いらしく、周囲には草木も生えず、ごつごつとした岩に囲まれている。
つづら折りの坂道に沿って木造の建物がまばらに並んでいる。私は鰻屋兼温泉宿であるひときわ大きな建物へ入るが、人の姿はない。
しばらく周囲を歩き周った後、坂道を登り切るとロープウェイ乗り場が現れた。券売所の付近に人集りを見つけ近寄ると、小学校の頃のクラスメイトたちだ。皆笑顔で私を迎え入れてくれる。
不安にかられていた私は心からホッとしている。
夢2
小学校の前にいる。隣には幼馴染であるAが立っている。私もAも子供の頃の姿だ。
私とAは突然ケンカを始める。Aがランドセルに唾を吐きかけたと私は言い、そんなことはしていないとAは言う。2、3言い争った後、どちらともなくまあいいか、とケンカは収まった。
小学校に立ち入った私たちは、まるで病院の待合室のような内観に驚いている。校内には私たち以外誰もいない。腹減ったね、とこれまた小学校にあるまじき食堂へ向かうと、テーブルに大きなたこ焼きが4つ並んだ皿が置かれている。
(2011.12.10 夜)
2011年12月8日木曜日
発電所から駅へと続くぬかるんだ道
発電所から駅へと続くぬかるんだ道を友人T、Iと3人で歩いている。
膝まで泥にはまってしまうその道は、ぬかるみというにはあまりに深い泥の川だ。
私たちは汗をかきながら必死に駅へと急ぐのだが、列車に乗ってどこへ行こうというのか、自分には分からない。
駅へ辿り着いたときには、陽はすっかり落ちてしまっていた。
駅前広場の片隅では街灯に照らされた二人のストリートミュージシャンがギターをかき鳴らしている。
音は聞こえない。
(2011.12.07 夜)
膝まで泥にはまってしまうその道は、ぬかるみというにはあまりに深い泥の川だ。
私たちは汗をかきながら必死に駅へと急ぐのだが、列車に乗ってどこへ行こうというのか、自分には分からない。
駅へ辿り着いたときには、陽はすっかり落ちてしまっていた。
駅前広場の片隅では街灯に照らされた二人のストリートミュージシャンがギターをかき鳴らしている。
音は聞こえない。
(2011.12.07 夜)
芝生からなる小高い丘
芝生からなる小高い丘の上に立っている。芝は丘の裾野に広がっており、公園のようでもあり、墓地のようでもある。
その芝生は膝の高さほどの生け垣によっていくつもの列に区切られている。ひとつの列は1mほどの幅しかない。幾筋も伸びる生け垣の間には、あぐらをかいた人々が等間隔に並んでいる。
それらの人々は年齢も性別もばらばらで、皆ただぼうっと中空を見つめている。
そこを訪れる人々の一団が目に入る。彼らは思い思いに散らばり、居並ぶ老若男女と会話を始めているようだ。
私は丘を駆け下り、目の前の生け垣を跳び越え一人の老婆の前に立つ。
老婆は話し始める。もの悲しい内容だったような気がするが、よく思い出せない。
(2011.12.06 夜)
その芝生は膝の高さほどの生け垣によっていくつもの列に区切られている。ひとつの列は1mほどの幅しかない。幾筋も伸びる生け垣の間には、あぐらをかいた人々が等間隔に並んでいる。
それらの人々は年齢も性別もばらばらで、皆ただぼうっと中空を見つめている。
そこを訪れる人々の一団が目に入る。彼らは思い思いに散らばり、居並ぶ老若男女と会話を始めているようだ。
私は丘を駆け下り、目の前の生け垣を跳び越え一人の老婆の前に立つ。
老婆は話し始める。もの悲しい内容だったような気がするが、よく思い出せない。
(2011.12.06 夜)
2011年12月6日火曜日
博物館・古着店
郊外にある煉瓦造りの博物館へ両親を案内している。
森に囲まれた小径を進むと、列柱の並んだ外壁が目に入ってきた。煉瓦で造られているはずの柱は腐った木の幹のように縦に裂け、めくれ垂れ下がっている。
博物館の1Fはピロティになっており、奥の壁に沿って巨大な金色の仏像が胸から上の部分だけ、胸像のように展示されている。
博物館は深い森に囲まれているが、木々の向こうから石造りのマヤの神殿が顔をのぞかせている。
神殿へ至る唯一の道は高く幅の狭い歩道陸橋だ。陸橋は大きく弧を描きながら森の上を這っている。
私は両親とともにその陸橋を渡るのだが、人ひとりがやっと通れるほどの道には手すりもなく、風が吹けば森へと真っ逆さまだ。
両親に「気をつけて」と声をかけながら、ゆっくりと陸橋を渡っていく。
(暗転)
商店街の古着店にひとりでいる。
棚に並んだ白いセーターを手に取った私は、ふと入り口へと顔を向ける。
ガラス戸の外は光が溢れ真っ白に輝いている。眩しくて私は目を細める。
(2011.12.01 夜)
森に囲まれた小径を進むと、列柱の並んだ外壁が目に入ってきた。煉瓦で造られているはずの柱は腐った木の幹のように縦に裂け、めくれ垂れ下がっている。
博物館の1Fはピロティになっており、奥の壁に沿って巨大な金色の仏像が胸から上の部分だけ、胸像のように展示されている。
博物館は深い森に囲まれているが、木々の向こうから石造りのマヤの神殿が顔をのぞかせている。
神殿へ至る唯一の道は高く幅の狭い歩道陸橋だ。陸橋は大きく弧を描きながら森の上を這っている。
私は両親とともにその陸橋を渡るのだが、人ひとりがやっと通れるほどの道には手すりもなく、風が吹けば森へと真っ逆さまだ。
両親に「気をつけて」と声をかけながら、ゆっくりと陸橋を渡っていく。
(暗転)
商店街の古着店にひとりでいる。
棚に並んだ白いセーターを手に取った私は、ふと入り口へと顔を向ける。
ガラス戸の外は光が溢れ真っ白に輝いている。眩しくて私は目を細める。
(2011.12.01 夜)
2011年9月22日木曜日
二階の窓を開けると
二階の窓を開けると、一面の銀世界だった。
傍に立つ長い黒髪の女性に促されて窓から身を乗り出しひさしの上に降り立つと、冷んやりとした感触が足の裏から伝わってくる。私に続いた彼女はさらに土がむき出しになった地面へと軽やかに飛び降りた。
「生き物はいるのかな」
彼女は私を見上げて尋ねた。
「土の中に虫がいるだろうね」
私はそう応えたがしかし、頭の中では生き物などどこにもいやしないのではないかとぼんやり考えていた。
すると彼女はその場にしゃがみこみ、掌でなでるように地面を浅く掘り返した。現れたのは白く丸まったカブトムシの幼虫だ。
彼女はじっと幼虫を見つめている。
私はそんな彼女をぼんやりとただ眺めている。
(2011.09.21 夜)
傍に立つ長い黒髪の女性に促されて窓から身を乗り出しひさしの上に降り立つと、冷んやりとした感触が足の裏から伝わってくる。私に続いた彼女はさらに土がむき出しになった地面へと軽やかに飛び降りた。
「生き物はいるのかな」
彼女は私を見上げて尋ねた。
「土の中に虫がいるだろうね」
私はそう応えたがしかし、頭の中では生き物などどこにもいやしないのではないかとぼんやり考えていた。
すると彼女はその場にしゃがみこみ、掌でなでるように地面を浅く掘り返した。現れたのは白く丸まったカブトムシの幼虫だ。
彼女はじっと幼虫を見つめている。
私はそんな彼女をぼんやりとただ眺めている。
(2011.09.21 夜)
2011年8月23日火曜日
夢断片
網の目のように路地が広がる住宅街。学校を出た私は小走りに路地を駆けまわる。途中、ズボンを履き忘れていることに気付く。
「街」にある、とある坂の上の蕎麦屋。私はこの店の主人(壮年の男女)と親しげに会話をする仲である。
(2011.08.23 朝〜昼)
「街」にある、とある坂の上の蕎麦屋。私はこの店の主人(壮年の男女)と親しげに会話をする仲である。
(2011.08.23 朝〜昼)
2011年6月29日水曜日
中学生である / 会社は目と鼻の先 / 長い旅行から
夢1
中学生である。もう昼になろうとしており、学校へは間に合わない。
台所には祖母の姿。祖母は「食べなさい」と、野菜の炒め物をすすめてくれる。
夢2
会社とは目と鼻の先、交差点に面した小さな居酒屋にいる。木組みの椅子が3つだけ置かれたその店は、カウンターの向こう側の半畳ほどの調理スペースでお湯を沸かしている、人の良さそうなおばちゃんがひとりで切り盛りしているようだ。
「立ちっぱなしで大変でしょう」と言うと、おばちゃんは「いいえ」と笑った。少し寂しそうに見えた。
店を出て歩き始める。もう見知った風景ではなくなっていた。
夢3
長い旅行から帰ってきた(らしい)自分は、小中学校の同級生、オカザキさんと再開した。会話を弾ませてはいるが、これは本当は自分ではないと感じている。
(2011.06.27 夜)
中学生である。もう昼になろうとしており、学校へは間に合わない。
台所には祖母の姿。祖母は「食べなさい」と、野菜の炒め物をすすめてくれる。
夢2
会社とは目と鼻の先、交差点に面した小さな居酒屋にいる。木組みの椅子が3つだけ置かれたその店は、カウンターの向こう側の半畳ほどの調理スペースでお湯を沸かしている、人の良さそうなおばちゃんがひとりで切り盛りしているようだ。
「立ちっぱなしで大変でしょう」と言うと、おばちゃんは「いいえ」と笑った。少し寂しそうに見えた。
店を出て歩き始める。もう見知った風景ではなくなっていた。
夢3
長い旅行から帰ってきた(らしい)自分は、小中学校の同級生、オカザキさんと再開した。会話を弾ませてはいるが、これは本当は自分ではないと感じている。
(2011.06.27 夜)
2011年6月10日金曜日
2011年6月7日火曜日
友人の家で見たその植物の
友人の家で見たその植物の名前はハナミズキというらしい。鋭い棘で覆われたゴボウのような容貌で、自分の知っているハナミズキとは似ても似つかないが、彼女はそう言い張って聞かない。面白いものを見せてあげる、と言い彼女はハナミズキの枝をひとつ落とし、その断面にまったく別の植物の枝を押し当ててた。するとハナミズキの断面から白い糸のようなものが何本も伸び、その押し当てられた枝をあっという間に覆い尽くし採り込んでしまった。
私は恐怖に駆られるが、彼女はにこやかにハナミズキを見つめている。まあ休みなよ、と促されコタツに横たわっていると、ハナミズキはゆっくりと私の方へその身を伸ばしてくる。恐ろしくなりコタツから這い出ると、もう彼女の姿はなく、かわりに見覚えのない4人の男女に囲まれていた。
彼らはハナミズキの所有者たる彼女とは旧知の仲なのだという。部屋から連れ出された私は、広い草原を歩きながら、彼らから彼女が虚言癖の持ち主なのだと聞かされる。
私にとってはそんなことはどうでもよかった。ただあの植物をなんとかしなければ、とばかり考えている。
気をつけてね、と言い残し去って行った彼らを見送ってから、私は草原をあてもなく歩き海岸沿いに建つ民家までやってきた。
その民家の周囲にはこれまた奇妙な植物が生い茂っている。たくさんの節のついた黄土色のレンコンの先端に焦げ茶色の瓜が4つくっついているようなグロテスクな姿をしたその植物は、絶えず蠢いては地面の芝生をついばんでいる。
――食っているのか?
まるでパワーショベルのアームのように、ゆっくりとした動きで芝をついばむ姿を部屋の窓から覗き背筋を凍らせていると、背後の襖が開き、家の主人がやって来た。
「あれはハナミズキですよ。成長するとああなるんです。」
と主人はにこやかに窓の外を指さしながら言う。
「人もね、食べるんです。でもゆっくりとしか動けないから、大丈夫、逃げられますよ。」
そう言って主人は奥の部屋へと引っ込んでしまった。
冗談ではない。早くここから離れなければ。
踵を返して外へ出ようとしたその時、周囲のハナミズキが一斉に白い糸を全身から垂らし始めた。ゆらゆらとたなびく真白なカーテンに囲まれ、次第に恐怖よりも美しさへの感動が勝り始める。
(2011.06.06 夜)
私は恐怖に駆られるが、彼女はにこやかにハナミズキを見つめている。まあ休みなよ、と促されコタツに横たわっていると、ハナミズキはゆっくりと私の方へその身を伸ばしてくる。恐ろしくなりコタツから這い出ると、もう彼女の姿はなく、かわりに見覚えのない4人の男女に囲まれていた。
彼らはハナミズキの所有者たる彼女とは旧知の仲なのだという。部屋から連れ出された私は、広い草原を歩きながら、彼らから彼女が虚言癖の持ち主なのだと聞かされる。
私にとってはそんなことはどうでもよかった。ただあの植物をなんとかしなければ、とばかり考えている。
気をつけてね、と言い残し去って行った彼らを見送ってから、私は草原をあてもなく歩き海岸沿いに建つ民家までやってきた。
その民家の周囲にはこれまた奇妙な植物が生い茂っている。たくさんの節のついた黄土色のレンコンの先端に焦げ茶色の瓜が4つくっついているようなグロテスクな姿をしたその植物は、絶えず蠢いては地面の芝生をついばんでいる。
――食っているのか?
まるでパワーショベルのアームのように、ゆっくりとした動きで芝をついばむ姿を部屋の窓から覗き背筋を凍らせていると、背後の襖が開き、家の主人がやって来た。
「あれはハナミズキですよ。成長するとああなるんです。」
と主人はにこやかに窓の外を指さしながら言う。
「人もね、食べるんです。でもゆっくりとしか動けないから、大丈夫、逃げられますよ。」
そう言って主人は奥の部屋へと引っ込んでしまった。
冗談ではない。早くここから離れなければ。
踵を返して外へ出ようとしたその時、周囲のハナミズキが一斉に白い糸を全身から垂らし始めた。ゆらゆらとたなびく真白なカーテンに囲まれ、次第に恐怖よりも美しさへの感動が勝り始める。
(2011.06.06 夜)
2011年6月1日水曜日
目の前で両親が
目の前で両親が会話しているが日本語ではない。それはもはや言葉ではなく、木の幹を叩くような、トントンという音としか認識できない。
自分は声を出すこともできない
(2011.05.31 夜)
自分は声を出すこともできない
(2011.05.31 夜)
2011年5月22日日曜日
夜、自室の布団で
夜、自室の布団で眠ろうとしているのだが、なかなか寝付けずにいる。
横になったまま左を見やると、押入れの戸が半開きになっていることに気付く。真っ暗で中を窺うことはできないが、奥からガタゴト物音が聞こえてくる。
押入れの奥は隣室との壁になっているので、となりの住人が片付けでもしているのだろうと思い私は目を閉じる。
しかし物音は次第に「ガタゴト」から「ズズズ」という、何かを引きずるようなものに変わっていき、自分の方へ近づいてくる。
恐怖を感じながらも目を閉じたままでいたが、突然がしりと腕を掴まれた。
飛び起きてみると押入れから黒い腕が長く伸びて私の左腕を掴んでいる。振り払おうとすればするほど掴む力は強くなり、今にも腕が折れてしまいそうだ。
私は声をあげようとするが、喉の奥で息が詰まり声にならない。
暗転
中世ヨーロッパの宮殿の中。老画家が女王の肖像画を披露している。
女王は老画家に心酔しているようで、感嘆の声をあげて跪く。
老画家が近くの衛兵に目配せをしたその時、扉が開き若い男が数人の衛兵に連行されてくる。男は何事か叫んでいるのだが私には聞き取ることができない。
絞首台が用意され、あっという間に男は吊るされてしまう。
(2011/05/21 夜)
横になったまま左を見やると、押入れの戸が半開きになっていることに気付く。真っ暗で中を窺うことはできないが、奥からガタゴト物音が聞こえてくる。
押入れの奥は隣室との壁になっているので、となりの住人が片付けでもしているのだろうと思い私は目を閉じる。
しかし物音は次第に「ガタゴト」から「ズズズ」という、何かを引きずるようなものに変わっていき、自分の方へ近づいてくる。
恐怖を感じながらも目を閉じたままでいたが、突然がしりと腕を掴まれた。
飛び起きてみると押入れから黒い腕が長く伸びて私の左腕を掴んでいる。振り払おうとすればするほど掴む力は強くなり、今にも腕が折れてしまいそうだ。
私は声をあげようとするが、喉の奥で息が詰まり声にならない。
暗転
中世ヨーロッパの宮殿の中。老画家が女王の肖像画を披露している。
女王は老画家に心酔しているようで、感嘆の声をあげて跪く。
老画家が近くの衛兵に目配せをしたその時、扉が開き若い男が数人の衛兵に連行されてくる。男は何事か叫んでいるのだが私には聞き取ることができない。
絞首台が用意され、あっという間に男は吊るされてしまう。
(2011/05/21 夜)
2011年5月21日土曜日
自分が座っていなければ
自分が座っていなければいけないはずのクイズ番組の回答者席をスタッフエリアから見つめている。
空の椅子には私が着ていた緑のジャケットだけが無造作に置かれている。
本番が始まる。
(2011/05/20 夜)
空の椅子には私が着ていた緑のジャケットだけが無造作に置かれている。
本番が始まる。
(2011/05/20 夜)
2011年5月19日木曜日
自転車レースに
自転車レースに出ることになった。
心得もないのに自信に満ちている。
友人のSが自転車を手配してくれたらしい。受け取りにいくと、広い河原へ案内された。
芝生のひろがる河原には一本の柳の木が立っており、自転車はバラバラに分解された状態で根元に晒されている。
「ここなら見つからないし、盗られることはない。組み立てよう。」
Sはそう言うと、あっという間に自転車を組み立ててしまう。
会場にはレースに参加する人達が大勢集まっている。ほとんどが見知った顔だ。
スタート地点に移動すると、急遽レースは自転車から車椅子に変更されると告げられた。
戸惑っているのは自分だけだ。皆なにくわぬ顔でスタートしていく。
自分にあてがわれた車椅子は見るからにボロボロで、いくら力をいれても一向に進まない。
やっと数メートル進んだところで既に周回遅れになってしまった。
私は腕に力を込め、必死に車輪を回し続ける。
(2011/05/18 夜)
心得もないのに自信に満ちている。
友人のSが自転車を手配してくれたらしい。受け取りにいくと、広い河原へ案内された。
芝生のひろがる河原には一本の柳の木が立っており、自転車はバラバラに分解された状態で根元に晒されている。
「ここなら見つからないし、盗られることはない。組み立てよう。」
Sはそう言うと、あっという間に自転車を組み立ててしまう。
会場にはレースに参加する人達が大勢集まっている。ほとんどが見知った顔だ。
スタート地点に移動すると、急遽レースは自転車から車椅子に変更されると告げられた。
戸惑っているのは自分だけだ。皆なにくわぬ顔でスタートしていく。
自分にあてがわれた車椅子は見るからにボロボロで、いくら力をいれても一向に進まない。
やっと数メートル進んだところで既に周回遅れになってしまった。
私は腕に力を込め、必死に車輪を回し続ける。
(2011/05/18 夜)
2011年5月17日火曜日
三帖ほどの、
三帖ほどの、小さな書店の中にいる。両側の壁は一面、天井まで木製の本棚で埋められ、奥の壁に埋め込まれた唯一のガラス窓のそばに、店の主人であろう老夫婦が並んで椅子に座っている。
私は本を手に取ってはパラパラめくり本棚に戻す。
それを何度か繰り返すうち、
―― 電車の時間だ。帰らなくては。
と思い店を出ようとするが、扉が重くて開けることができない。
しばらく押したり引いたりしていると、先ほどから椅子に座り人形のように動かなかった老婦人がやってきて、
「コツがあるんですよ」
と容易く扉を開ける。
私は礼を言い店を後にする。
扉の外はプラットフォーム。発車ベルが鳴り、私が飛び乗ると同時に列車は出発する。
私は鞄を店に忘れてしまったと慌てるのだが、中身は空っぽだということを思い出し、まあいいかと安堵する。
(2011.05.16 夜)
私は本を手に取ってはパラパラめくり本棚に戻す。
それを何度か繰り返すうち、
―― 電車の時間だ。帰らなくては。
と思い店を出ようとするが、扉が重くて開けることができない。
しばらく押したり引いたりしていると、先ほどから椅子に座り人形のように動かなかった老婦人がやってきて、
「コツがあるんですよ」
と容易く扉を開ける。
私は礼を言い店を後にする。
扉の外はプラットフォーム。発車ベルが鳴り、私が飛び乗ると同時に列車は出発する。
私は鞄を店に忘れてしまったと慌てるのだが、中身は空っぽだということを思い出し、まあいいかと安堵する。
(2011.05.16 夜)
2011年5月12日木曜日
「じんかん」という終着駅で
「じんかん」という終着駅で電車を降りた。どうやら「人間」と書いて「じんかん」と読むらしい。人間駅には建家がなく吹きさらしのホームが二本あるだけで、辺りにはススキが多く生え、ホームの両端は背丈ほどにまで達した穂で覆われてしまっている。駅の周囲はのどかな田舎町で、線路が伸びている方向を除き、周囲を黄色い地肌がむき出しの切り立った崖に囲まれている。
ホームを降りると駅員らしき男に話しかけられた。
「何もないところでしょう」
―― いやそんなことは
私はこの町に好感を抱いている。
駅員は町を案内してくれるという。
晴天のもと、黄色い崖を脇目に坂道を登っていく。どうやら崖の上は平地になっているらしく、建物が散在しているのが見て取れる。
三方の崖上それぞれにひときわ大きな建物が目に入る。
白い日本風の城。灰色の西洋風の城。青いキリスト教の聖堂。
「どれに行ってみたいですか」
と聞かれたので、私は青い聖堂へ、と答えた。
「そうですか」
駅員の応えが聞こえたが、その姿はどこにも見あたらなかった。
気が付けばとある建物の中。6畳ほどの広さの部屋に椅子が置いてあり、猫がふんぞり返った人間のような姿勢で座っている。
写真を撮ろうと手にしていたカメラのファインダーを覗くが、猫は気に入らないらしく仕草で難癖をつけてくる。その姿が微笑ましくて、飽きることなくカメラを向けていた。
シャッターはついに一度も切らなかった。
(2011.05.11 夜)
ホームを降りると駅員らしき男に話しかけられた。
「何もないところでしょう」
―― いやそんなことは
私はこの町に好感を抱いている。
駅員は町を案内してくれるという。
晴天のもと、黄色い崖を脇目に坂道を登っていく。どうやら崖の上は平地になっているらしく、建物が散在しているのが見て取れる。
三方の崖上それぞれにひときわ大きな建物が目に入る。
白い日本風の城。灰色の西洋風の城。青いキリスト教の聖堂。
「どれに行ってみたいですか」
と聞かれたので、私は青い聖堂へ、と答えた。
「そうですか」
駅員の応えが聞こえたが、その姿はどこにも見あたらなかった。
気が付けばとある建物の中。6畳ほどの広さの部屋に椅子が置いてあり、猫がふんぞり返った人間のような姿勢で座っている。
写真を撮ろうと手にしていたカメラのファインダーを覗くが、猫は気に入らないらしく仕草で難癖をつけてくる。その姿が微笑ましくて、飽きることなくカメラを向けていた。
シャッターはついに一度も切らなかった。
(2011.05.11 夜)
2011年5月10日火曜日
レンガ造りのアパートで
レンガ造りのアパートで、二人の男女と向き合っている。二人は明日結婚式を挙げるので私にも参加して欲しいという。私のことをよく知っているようなのだが、二人には見覚えがない。
あなた方はだれなのですか、と聞くべきか否か迷っているうちに、大きな地震に襲われた。レンガの壁に穴が空き、私は建物の外に転がり落ちてしまう。
暗転
ヘリコプターに乗っている。同乗しているのはアラブ風の男三人。
眼下に海。どこへ向かうのか分からない。
(2011.05.09 夜)
あなた方はだれなのですか、と聞くべきか否か迷っているうちに、大きな地震に襲われた。レンガの壁に穴が空き、私は建物の外に転がり落ちてしまう。
暗転
ヘリコプターに乗っている。同乗しているのはアラブ風の男三人。
眼下に海。どこへ向かうのか分からない。
(2011.05.09 夜)
2011年5月9日月曜日
海のそばの洞窟で...
海のそばの洞窟で、小さな女の子と二人で暮らしていた(とはいえ、どうやら自分も同じくらいの年らしい)。
私たちは毎日海に潜る。
海の底には街と言ってもいいほど巨大な宮殿のような建物がある。建物に天井はなく、水底へ近づくにつれてうごめく人々の姿が目に入ってくる。海底都市の人々は水中でも息ができるようなのだが、私たちにはそれができない。一日の終わりには地上に戻らなくてはならなかった。
一緒に暮らしている女の子のことはよく知らない。ただ毎日ひと言ふた言会話を交わし、それだけでとても楽しく暮らしている。
あるとき轟音と共に武装した重機のようなロボットが洞窟内に入り込み私たちに襲いかかってきた。どうやら狙われているのは彼女らしい。
私の他にも彼女を守ろうと二人の女性が洞窟内にやってきたのだが、重機に撃たれ倒れてしまった。そして私は彼女を見失ってしまう。
おそらく海底の街にいるのだろう。私は繰り返し海に潜り海底の街で彼女を探すが、見つからない。
潜る毎に海は明るさを増していく。大きく色鮮やかな魚の群れに目を奪われながらも、街へ急ぐ。
(2011.05.08 夜)
私たちは毎日海に潜る。
海の底には街と言ってもいいほど巨大な宮殿のような建物がある。建物に天井はなく、水底へ近づくにつれてうごめく人々の姿が目に入ってくる。海底都市の人々は水中でも息ができるようなのだが、私たちにはそれができない。一日の終わりには地上に戻らなくてはならなかった。
一緒に暮らしている女の子のことはよく知らない。ただ毎日ひと言ふた言会話を交わし、それだけでとても楽しく暮らしている。
あるとき轟音と共に武装した重機のようなロボットが洞窟内に入り込み私たちに襲いかかってきた。どうやら狙われているのは彼女らしい。
私の他にも彼女を守ろうと二人の女性が洞窟内にやってきたのだが、重機に撃たれ倒れてしまった。そして私は彼女を見失ってしまう。
おそらく海底の街にいるのだろう。私は繰り返し海に潜り海底の街で彼女を探すが、見つからない。
潜る毎に海は明るさを増していく。大きく色鮮やかな魚の群れに目を奪われながらも、街へ急ぐ。
(2011.05.08 夜)
2011年5月8日日曜日
映画で人体解剖のシーンを...
映画で人体解剖のシーンを撮影するのだという。
遺体は手に入った。ところどころ既に傷み赤茶けた色味を帯びてしまってはいるが、撮影関係者は皆「とてもいい状態だね」と口をそろえている。
さあ撮影だ。私たちは意気込んで遺体を解剖台に乗せスタジオへ運ぼうとするが、何時まで経っても辿り着けない。遺体の腐敗は進んでいき、見慣れたはずの私たちも目を背けたくなるほどだ。
スタジオへ辿り着けない原因は分かっている。この遺体を取り返そうとしている人々に妨害されているからだ。親族だろうか。多分そうなのだろうと皆考えているが、渡すわけにはいかないのだと強く感じている。
このままでは撮影できない。私たちは往来の真ん中で撮影を決行する。道行く人達が遺体を眺め顔を歪めては去っていく。私は監督に「カーテンを用意しなくては」と言うのだが、監督を含め周りのスタッフは皆黙々と撮影を進行させていくばかり。
私は撮影には加わらない。囮となり遺体を取り戻そうする人たちを現場から遠ざけねば。私は走り近くの大型書店へ滑りこむ。
「ああ、ここはあの街にあるあの書店か」
そう考えながら2階、3階へと階段を駆け上がっていく。
追っ手はもう遺体への興味を失っているようだ。すでに一人になっており、書店内で友人を見つけたらしく、楽しく談笑を始めている。その友人は私の知り合いでもあるが、声を掛けることはできない。
(2011.05.06 夜)
遺体は手に入った。ところどころ既に傷み赤茶けた色味を帯びてしまってはいるが、撮影関係者は皆「とてもいい状態だね」と口をそろえている。
さあ撮影だ。私たちは意気込んで遺体を解剖台に乗せスタジオへ運ぼうとするが、何時まで経っても辿り着けない。遺体の腐敗は進んでいき、見慣れたはずの私たちも目を背けたくなるほどだ。
スタジオへ辿り着けない原因は分かっている。この遺体を取り返そうとしている人々に妨害されているからだ。親族だろうか。多分そうなのだろうと皆考えているが、渡すわけにはいかないのだと強く感じている。
このままでは撮影できない。私たちは往来の真ん中で撮影を決行する。道行く人達が遺体を眺め顔を歪めては去っていく。私は監督に「カーテンを用意しなくては」と言うのだが、監督を含め周りのスタッフは皆黙々と撮影を進行させていくばかり。
私は撮影には加わらない。囮となり遺体を取り戻そうする人たちを現場から遠ざけねば。私は走り近くの大型書店へ滑りこむ。
「ああ、ここはあの街にあるあの書店か」
そう考えながら2階、3階へと階段を駆け上がっていく。
追っ手はもう遺体への興味を失っているようだ。すでに一人になっており、書店内で友人を見つけたらしく、楽しく談笑を始めている。その友人は私の知り合いでもあるが、声を掛けることはできない。
(2011.05.06 夜)
薄く小さなガラスのコップに...
薄く小さなガラスのコップに熱いコーヒーを注いでいる。
隣に佇む母に「それでは割れてしまうでしょう」と責めるような口調で言われ、「いや、これは、違う...」と拙い弁解をしようとするが声にならない。
不安を膨らませながら、私はコップをじっと見つめている。
(2011.05.05 夜)
隣に佇む母に「それでは割れてしまうでしょう」と責めるような口調で言われ、「いや、これは、違う...」と拙い弁解をしようとするが声にならない。
不安を膨らませながら、私はコップをじっと見つめている。
(2011.05.05 夜)
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