深い竹林の中に建つ屋敷。夜が近づいているが、その屋敷には灯りもなく、ただ夕焼けの色づいた光がぼんやりと差し込んでいる。
私が立つ30畳ほどもあろうかという広間からは、開け放たれた玄関から人々の往来が見てとれる。洋装・和装入り交じり、まるで明治時代の光景だ。皆小走りに背の低い生け垣に挟まれた小道を行き交っているが、屋敷の玄関に差し掛かると、そろってちらりとこちらへ目を遣るのだった。
私はなんとか彼らの視線を遮ろうと、様々な種類の織物でできた衝立を広間に並べ始める。
2、30は並べただろうか、その色鮮やかな光景に満足したところで、私は玄関に背を向け裏庭に面した縁側廊下へ向かう。
途中、部屋の隅に目を遣ると、母が畳に座り何かを縫っている。近づいて声をかけると、ちいさな人形を見せてくれた。
縁側廊下を屋敷の奥へ進むと、左手に二階へ上がる階段が現れた。そうだ、二階で探し物があったのだった。そう思った私は階段を塞いでいた低い木製の衝立を脇へ寄せ、ひとつ足を掛けるのだが、見上げた先は暗闇で、それ以上進むことができなくなる。
陽は完全に暮れてしまい、やがて何も見えなくなった。
(2011.12.11 夜)
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