夜、自室の布団で眠ろうとしているのだが、なかなか寝付けずにいる。
横になったまま左を見やると、押入れの戸が半開きになっていることに気付く。真っ暗で中を窺うことはできないが、奥からガタゴト物音が聞こえてくる。
押入れの奥は隣室との壁になっているので、となりの住人が片付けでもしているのだろうと思い私は目を閉じる。
しかし物音は次第に「ガタゴト」から「ズズズ」という、何かを引きずるようなものに変わっていき、自分の方へ近づいてくる。
恐怖を感じながらも目を閉じたままでいたが、突然がしりと腕を掴まれた。
飛び起きてみると押入れから黒い腕が長く伸びて私の左腕を掴んでいる。振り払おうとすればするほど掴む力は強くなり、今にも腕が折れてしまいそうだ。
私は声をあげようとするが、喉の奥で息が詰まり声にならない。
暗転
中世ヨーロッパの宮殿の中。老画家が女王の肖像画を披露している。
女王は老画家に心酔しているようで、感嘆の声をあげて跪く。
老画家が近くの衛兵に目配せをしたその時、扉が開き若い男が数人の衛兵に連行されてくる。男は何事か叫んでいるのだが私には聞き取ることができない。
絞首台が用意され、あっという間に男は吊るされてしまう。
(2011/05/21 夜)
2011年5月22日日曜日
2011年5月21日土曜日
自分が座っていなければ
自分が座っていなければいけないはずのクイズ番組の回答者席をスタッフエリアから見つめている。
空の椅子には私が着ていた緑のジャケットだけが無造作に置かれている。
本番が始まる。
(2011/05/20 夜)
空の椅子には私が着ていた緑のジャケットだけが無造作に置かれている。
本番が始まる。
(2011/05/20 夜)
2011年5月19日木曜日
自転車レースに
自転車レースに出ることになった。
心得もないのに自信に満ちている。
友人のSが自転車を手配してくれたらしい。受け取りにいくと、広い河原へ案内された。
芝生のひろがる河原には一本の柳の木が立っており、自転車はバラバラに分解された状態で根元に晒されている。
「ここなら見つからないし、盗られることはない。組み立てよう。」
Sはそう言うと、あっという間に自転車を組み立ててしまう。
会場にはレースに参加する人達が大勢集まっている。ほとんどが見知った顔だ。
スタート地点に移動すると、急遽レースは自転車から車椅子に変更されると告げられた。
戸惑っているのは自分だけだ。皆なにくわぬ顔でスタートしていく。
自分にあてがわれた車椅子は見るからにボロボロで、いくら力をいれても一向に進まない。
やっと数メートル進んだところで既に周回遅れになってしまった。
私は腕に力を込め、必死に車輪を回し続ける。
(2011/05/18 夜)
心得もないのに自信に満ちている。
友人のSが自転車を手配してくれたらしい。受け取りにいくと、広い河原へ案内された。
芝生のひろがる河原には一本の柳の木が立っており、自転車はバラバラに分解された状態で根元に晒されている。
「ここなら見つからないし、盗られることはない。組み立てよう。」
Sはそう言うと、あっという間に自転車を組み立ててしまう。
会場にはレースに参加する人達が大勢集まっている。ほとんどが見知った顔だ。
スタート地点に移動すると、急遽レースは自転車から車椅子に変更されると告げられた。
戸惑っているのは自分だけだ。皆なにくわぬ顔でスタートしていく。
自分にあてがわれた車椅子は見るからにボロボロで、いくら力をいれても一向に進まない。
やっと数メートル進んだところで既に周回遅れになってしまった。
私は腕に力を込め、必死に車輪を回し続ける。
(2011/05/18 夜)
2011年5月17日火曜日
三帖ほどの、
三帖ほどの、小さな書店の中にいる。両側の壁は一面、天井まで木製の本棚で埋められ、奥の壁に埋め込まれた唯一のガラス窓のそばに、店の主人であろう老夫婦が並んで椅子に座っている。
私は本を手に取ってはパラパラめくり本棚に戻す。
それを何度か繰り返すうち、
―― 電車の時間だ。帰らなくては。
と思い店を出ようとするが、扉が重くて開けることができない。
しばらく押したり引いたりしていると、先ほどから椅子に座り人形のように動かなかった老婦人がやってきて、
「コツがあるんですよ」
と容易く扉を開ける。
私は礼を言い店を後にする。
扉の外はプラットフォーム。発車ベルが鳴り、私が飛び乗ると同時に列車は出発する。
私は鞄を店に忘れてしまったと慌てるのだが、中身は空っぽだということを思い出し、まあいいかと安堵する。
(2011.05.16 夜)
私は本を手に取ってはパラパラめくり本棚に戻す。
それを何度か繰り返すうち、
―― 電車の時間だ。帰らなくては。
と思い店を出ようとするが、扉が重くて開けることができない。
しばらく押したり引いたりしていると、先ほどから椅子に座り人形のように動かなかった老婦人がやってきて、
「コツがあるんですよ」
と容易く扉を開ける。
私は礼を言い店を後にする。
扉の外はプラットフォーム。発車ベルが鳴り、私が飛び乗ると同時に列車は出発する。
私は鞄を店に忘れてしまったと慌てるのだが、中身は空っぽだということを思い出し、まあいいかと安堵する。
(2011.05.16 夜)
2011年5月12日木曜日
「じんかん」という終着駅で
「じんかん」という終着駅で電車を降りた。どうやら「人間」と書いて「じんかん」と読むらしい。人間駅には建家がなく吹きさらしのホームが二本あるだけで、辺りにはススキが多く生え、ホームの両端は背丈ほどにまで達した穂で覆われてしまっている。駅の周囲はのどかな田舎町で、線路が伸びている方向を除き、周囲を黄色い地肌がむき出しの切り立った崖に囲まれている。
ホームを降りると駅員らしき男に話しかけられた。
「何もないところでしょう」
―― いやそんなことは
私はこの町に好感を抱いている。
駅員は町を案内してくれるという。
晴天のもと、黄色い崖を脇目に坂道を登っていく。どうやら崖の上は平地になっているらしく、建物が散在しているのが見て取れる。
三方の崖上それぞれにひときわ大きな建物が目に入る。
白い日本風の城。灰色の西洋風の城。青いキリスト教の聖堂。
「どれに行ってみたいですか」
と聞かれたので、私は青い聖堂へ、と答えた。
「そうですか」
駅員の応えが聞こえたが、その姿はどこにも見あたらなかった。
気が付けばとある建物の中。6畳ほどの広さの部屋に椅子が置いてあり、猫がふんぞり返った人間のような姿勢で座っている。
写真を撮ろうと手にしていたカメラのファインダーを覗くが、猫は気に入らないらしく仕草で難癖をつけてくる。その姿が微笑ましくて、飽きることなくカメラを向けていた。
シャッターはついに一度も切らなかった。
(2011.05.11 夜)
ホームを降りると駅員らしき男に話しかけられた。
「何もないところでしょう」
―― いやそんなことは
私はこの町に好感を抱いている。
駅員は町を案内してくれるという。
晴天のもと、黄色い崖を脇目に坂道を登っていく。どうやら崖の上は平地になっているらしく、建物が散在しているのが見て取れる。
三方の崖上それぞれにひときわ大きな建物が目に入る。
白い日本風の城。灰色の西洋風の城。青いキリスト教の聖堂。
「どれに行ってみたいですか」
と聞かれたので、私は青い聖堂へ、と答えた。
「そうですか」
駅員の応えが聞こえたが、その姿はどこにも見あたらなかった。
気が付けばとある建物の中。6畳ほどの広さの部屋に椅子が置いてあり、猫がふんぞり返った人間のような姿勢で座っている。
写真を撮ろうと手にしていたカメラのファインダーを覗くが、猫は気に入らないらしく仕草で難癖をつけてくる。その姿が微笑ましくて、飽きることなくカメラを向けていた。
シャッターはついに一度も切らなかった。
(2011.05.11 夜)
2011年5月10日火曜日
レンガ造りのアパートで
レンガ造りのアパートで、二人の男女と向き合っている。二人は明日結婚式を挙げるので私にも参加して欲しいという。私のことをよく知っているようなのだが、二人には見覚えがない。
あなた方はだれなのですか、と聞くべきか否か迷っているうちに、大きな地震に襲われた。レンガの壁に穴が空き、私は建物の外に転がり落ちてしまう。
暗転
ヘリコプターに乗っている。同乗しているのはアラブ風の男三人。
眼下に海。どこへ向かうのか分からない。
(2011.05.09 夜)
あなた方はだれなのですか、と聞くべきか否か迷っているうちに、大きな地震に襲われた。レンガの壁に穴が空き、私は建物の外に転がり落ちてしまう。
暗転
ヘリコプターに乗っている。同乗しているのはアラブ風の男三人。
眼下に海。どこへ向かうのか分からない。
(2011.05.09 夜)
2011年5月9日月曜日
海のそばの洞窟で...
海のそばの洞窟で、小さな女の子と二人で暮らしていた(とはいえ、どうやら自分も同じくらいの年らしい)。
私たちは毎日海に潜る。
海の底には街と言ってもいいほど巨大な宮殿のような建物がある。建物に天井はなく、水底へ近づくにつれてうごめく人々の姿が目に入ってくる。海底都市の人々は水中でも息ができるようなのだが、私たちにはそれができない。一日の終わりには地上に戻らなくてはならなかった。
一緒に暮らしている女の子のことはよく知らない。ただ毎日ひと言ふた言会話を交わし、それだけでとても楽しく暮らしている。
あるとき轟音と共に武装した重機のようなロボットが洞窟内に入り込み私たちに襲いかかってきた。どうやら狙われているのは彼女らしい。
私の他にも彼女を守ろうと二人の女性が洞窟内にやってきたのだが、重機に撃たれ倒れてしまった。そして私は彼女を見失ってしまう。
おそらく海底の街にいるのだろう。私は繰り返し海に潜り海底の街で彼女を探すが、見つからない。
潜る毎に海は明るさを増していく。大きく色鮮やかな魚の群れに目を奪われながらも、街へ急ぐ。
(2011.05.08 夜)
私たちは毎日海に潜る。
海の底には街と言ってもいいほど巨大な宮殿のような建物がある。建物に天井はなく、水底へ近づくにつれてうごめく人々の姿が目に入ってくる。海底都市の人々は水中でも息ができるようなのだが、私たちにはそれができない。一日の終わりには地上に戻らなくてはならなかった。
一緒に暮らしている女の子のことはよく知らない。ただ毎日ひと言ふた言会話を交わし、それだけでとても楽しく暮らしている。
あるとき轟音と共に武装した重機のようなロボットが洞窟内に入り込み私たちに襲いかかってきた。どうやら狙われているのは彼女らしい。
私の他にも彼女を守ろうと二人の女性が洞窟内にやってきたのだが、重機に撃たれ倒れてしまった。そして私は彼女を見失ってしまう。
おそらく海底の街にいるのだろう。私は繰り返し海に潜り海底の街で彼女を探すが、見つからない。
潜る毎に海は明るさを増していく。大きく色鮮やかな魚の群れに目を奪われながらも、街へ急ぐ。
(2011.05.08 夜)
2011年5月8日日曜日
映画で人体解剖のシーンを...
映画で人体解剖のシーンを撮影するのだという。
遺体は手に入った。ところどころ既に傷み赤茶けた色味を帯びてしまってはいるが、撮影関係者は皆「とてもいい状態だね」と口をそろえている。
さあ撮影だ。私たちは意気込んで遺体を解剖台に乗せスタジオへ運ぼうとするが、何時まで経っても辿り着けない。遺体の腐敗は進んでいき、見慣れたはずの私たちも目を背けたくなるほどだ。
スタジオへ辿り着けない原因は分かっている。この遺体を取り返そうとしている人々に妨害されているからだ。親族だろうか。多分そうなのだろうと皆考えているが、渡すわけにはいかないのだと強く感じている。
このままでは撮影できない。私たちは往来の真ん中で撮影を決行する。道行く人達が遺体を眺め顔を歪めては去っていく。私は監督に「カーテンを用意しなくては」と言うのだが、監督を含め周りのスタッフは皆黙々と撮影を進行させていくばかり。
私は撮影には加わらない。囮となり遺体を取り戻そうする人たちを現場から遠ざけねば。私は走り近くの大型書店へ滑りこむ。
「ああ、ここはあの街にあるあの書店か」
そう考えながら2階、3階へと階段を駆け上がっていく。
追っ手はもう遺体への興味を失っているようだ。すでに一人になっており、書店内で友人を見つけたらしく、楽しく談笑を始めている。その友人は私の知り合いでもあるが、声を掛けることはできない。
(2011.05.06 夜)
遺体は手に入った。ところどころ既に傷み赤茶けた色味を帯びてしまってはいるが、撮影関係者は皆「とてもいい状態だね」と口をそろえている。
さあ撮影だ。私たちは意気込んで遺体を解剖台に乗せスタジオへ運ぼうとするが、何時まで経っても辿り着けない。遺体の腐敗は進んでいき、見慣れたはずの私たちも目を背けたくなるほどだ。
スタジオへ辿り着けない原因は分かっている。この遺体を取り返そうとしている人々に妨害されているからだ。親族だろうか。多分そうなのだろうと皆考えているが、渡すわけにはいかないのだと強く感じている。
このままでは撮影できない。私たちは往来の真ん中で撮影を決行する。道行く人達が遺体を眺め顔を歪めては去っていく。私は監督に「カーテンを用意しなくては」と言うのだが、監督を含め周りのスタッフは皆黙々と撮影を進行させていくばかり。
私は撮影には加わらない。囮となり遺体を取り戻そうする人たちを現場から遠ざけねば。私は走り近くの大型書店へ滑りこむ。
「ああ、ここはあの街にあるあの書店か」
そう考えながら2階、3階へと階段を駆け上がっていく。
追っ手はもう遺体への興味を失っているようだ。すでに一人になっており、書店内で友人を見つけたらしく、楽しく談笑を始めている。その友人は私の知り合いでもあるが、声を掛けることはできない。
(2011.05.06 夜)
薄く小さなガラスのコップに...
薄く小さなガラスのコップに熱いコーヒーを注いでいる。
隣に佇む母に「それでは割れてしまうでしょう」と責めるような口調で言われ、「いや、これは、違う...」と拙い弁解をしようとするが声にならない。
不安を膨らませながら、私はコップをじっと見つめている。
(2011.05.05 夜)
隣に佇む母に「それでは割れてしまうでしょう」と責めるような口調で言われ、「いや、これは、違う...」と拙い弁解をしようとするが声にならない。
不安を膨らませながら、私はコップをじっと見つめている。
(2011.05.05 夜)
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