2011年9月22日木曜日

二階の窓を開けると

二階の窓を開けると、一面の銀世界だった。
傍に立つ長い黒髪の女性に促されて窓から身を乗り出しひさしの上に降り立つと、冷んやりとした感触が足の裏から伝わってくる。私に続いた彼女はさらに土がむき出しになった地面へと軽やかに飛び降りた。
「生き物はいるのかな」
彼女は私を見上げて尋ねた。
「土の中に虫がいるだろうね」
私はそう応えたがしかし、頭の中では生き物などどこにもいやしないのではないかとぼんやり考えていた。
すると彼女はその場にしゃがみこみ、掌でなでるように地面を浅く掘り返した。現れたのは白く丸まったカブトムシの幼虫だ。
彼女はじっと幼虫を見つめている。
私はそんな彼女をぼんやりとただ眺めている。

(2011.09.21 夜)